「日本晴れ」＠エチオピア

エチオピアのMEKIという地域で米を生産している。
DNA鑑定により、その米は日本穀物協会が標準米として認定した「日本晴れ」だということがわかったそうだ。1980年代に当時社会主義圏の友好国として関係の深かった北朝鮮によってもたらされたものと言われている。

私は、このMEKIの「日本晴れ」を食べて暮らしている。
ラーメンクッカーで米を炊き、ちょっとしたサラダや缶詰をおかずに夕食を済ませる。
エチオピア料理は種類も少なく、毎日外食をする気分にはならない。

エチオピア料理の主食はテフという雑穀で作る「インジェラ」という食べ物である。
ちょっぴり湿っていて酸っぱい、厚さ5ミリの薄焼きパンだ。それをくるくる丸めて出してくるので、誰が言い始めたのかチームで「雑巾」と呼ばれている。すえた臭いも「雑巾」っぽい。いや、愛着を持って称しているので、決して悪気はない。でも、やっぱり少々申し訳ない愛称かな。

テフは単位収量が非常に少なく、これが飢餓の原因と言う人もいる。
「もっと収量の多い作物を植えればいいのに」というのである。
直径1ミリの風に飛ぶテフを扱うのも大変だし、インジェラを食す習慣が飢餓を生むのだと。

先日、地方出張に行った際、蛇を見かけた。
「あれは食べないのか？」
と一緒にいたカウンターパート（政府役人）に聞くと、
「とんでもない！」
と首を振った。
「ロバもたくさんいるが、食べないのか」
「絶対食べない。我々は誇り高い食生活を送っているんだ」
「なるほど…」

もう25年間もWFPから穀物を恵んでもらっているのに、誇り高いと来たもんだ。
腹が減ったら何でも食べるぞ、という気概はないらしい。

何となく、まだこの国に馴染めないでいる。
たぶん、食生活と音楽が私にフィットしないのだろうな。
とりあえず、「日本晴れ」だけは有り難いのであった。