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休日のヒマラヤ [ネパール]

室温10度のペンションからホテルに移動した。
部屋の中でダウン・コートを着ていなくてはならないのでは仕事にならない。
とはいえ、事務所も状況は同じで、ダウンが手放せない。
ネパールは電力不足に加えてガソリン不足に陥っている。
ガソリン値上げに反対したゼネストが始まるらしいし、相変わらず先の見えないネパールである。

ショックだったのは、エチオピアから帰国途中で衝動買いしたダウンの裾をストーブで焦がしたこと。
MaxMaraのブランド品なんて持ってくるべきではなかった。(号泣)

この一連の仕事はモンゴルからスタートし、パキスタン、ネパールと移動しながら太陽光プロジェクトの広報案を作り、見学会を実施していくというものだが、モンゴルからスタートしたことに敗因がある。
モンゴルは寒い。半端じゃなく寒い。昼間もマイナス20度だった。
でも、今度は南アジアだから、うれしい、暖かいはず!
と、勝手に思い違いをして日本でスーツケースの中身を南国使用に切り替えてしまった。
モンゴルに比べたら確かに温かい。
でも、気温10度はやはり寒いのだ。
しかも、モンゴルはセントラル・ヒーティング・システムが完備してあるが、
パキスタンもネパールも、そんなものはない。
パキスタンの停電は一日2時間くらいだが、ネパールの停電は14時間。
電気ストーブも停電時には役に立たない。
で、灯油ストーブをつけるのだが、最近はガソリン不足でそれすら手に入らなくなっている。

「家に帰ると、すぐ布団の中に潜って、何もする気になれないんですよ~」
と、ネパール人の同僚も苦笑いしていた。

そんな中、私はヒマラヤの見える自家発電のある中堅ホテルに移った。
部屋の温度は20度で、こうしてPCにブログを打ち込んでいても手が悴まないのが嬉しい。
そして、少し手を放して、窓の外を見ると、ヒマラヤが見えるという贅沢。
好きな音楽を流して、この土曜日一日の休日を、私は久しぶりにのんびりと過ごすことができた。
連載エッセイの三回目も書き上げることができたし、何か、幸せです。

政治が混乱していようが、道がゼネストで封鎖されようが、
事務所が凍えるほど寒かろうが、
ダウンコートに焼け焦げができようが(これはちょっと痛い)
こうして窓の外にヒマラヤを見ると、
地球の長い営みを感じる。
このヒマラヤは、エチオピアの大地溝帯でアフリカ大陸が割れて移動したのがぶつかり、ぎゅぎゅっと押されて盛り上がった。
地球の偉大さ。
大地も、時間も……繋がっているという感覚。
私自身がここにいる意味。
窓辺に寄り添い見るヒマラヤは、様々な幻想を送り届けてくれる。

というわけで、ちょっぴり暖かな部屋に幸せを感じる孤独な休日なのでした。
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