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日曜日は小説家 [執筆]

開発コンサルタントの仕事に小説家業は絶対に持ち込まない。
そう自分自身にけじめをつけてやってきた。
だから、海外に出張中は、一切小説は書かないし、小説のことは考えないようにしてきた。

でも、ここに来て、少しずつ自分の気持ちに変化が起きている。
一番の原因は忙しさだろう。
年間8ヶ月以上海外出張で、そのときに小説のことをシャットアウトしていると、
残りの4ヶ月弱しか小説に取り組めない。
しかも、出張前の前後1週間は準備やらまとめやらで忙しく、
ここ最近は出張の繰り返しで、中1週間日本にいられればいい方である。

こんな状態で、けじめだけを考えて小説を遠ざけていたら、
小説家業は確実に廃業になってしまう。
そんなのイヤだ。
今の私から書くことを奪ったら、本当に何も残らない。
私が私であり続けるためにも、創造者の顔を捨てられない。

というわけで、夜と日曜日は作家である自分を隠すのはやめることにした。
新人賞をもらうと、その新人としての賞味期限は5年だと言われている。
私は2008年に賞をもらったのだし、賞味期限切れのギリギリの線だ。
開発コンサルの仕事も大切だが、よく考えれば、開発コンサルタントは私でなくても大勢優秀な人がいる。
でも、小説を書くバカは私しかいない。

幸運なことに、今の調査団長は
「やるべきことさえきっちりやってもらえば、夜と休日は自由だよ」
と言ってくれる。
支障のない範囲で原稿を書くことを許してくれる。

エッセイの連載3回目まで脱稿し、今度は4月号の執筆に取り掛かる。
それから、角川文庫の校正を、なんとまあ、申し訳ないことに、
エチオピアの片田舎までDHLで送ってもらうことになっている。
すでに文庫用の題名も決まり、「ロロ・ジョングランの歌声」はバリバリの経済小説となってリニューアルされる。

文庫本の発売は4月25日で、発売時に私はネパール出張で日本にいないのだが(爆)、
最後の詰めは日本でできるので、どうにか気合いで踏ん張りたい。
そうそう、受賞後第一作目になる単行本新刊の脱稿も「4月中にお渡しできます」と宣言しているので、
天井を見ながらあれこれと構想を練り続けて心は穏やかではない。
プロットも落としどころも先日編集者から合意を得ている。
あとは書き込むだけ。
でも、あー、せめて二日間休日があれば集中できるんだけど、
一日だと中途半端で気持ちが入っていかないんだよねぇ……(涙)。

泣き言は禁物だよね。

目先の原稿のこともあるけど、
実は、その先の、まだ一行も書いていない小説のことでも頭が結構いっぱいでして……。
編集者さんと大筋の同意はできている。
その中に散りばめる細かなエピソードが、ぐるぐると頭の中で巡っている。
そして、画像が現れてくる。
天井に、映写機が映し出すような物語が薄く揺れながら動き出す。

まだダメだ。
まだ形にならない。
でも、メレンゲを作るように、ずっと、ずっと根気よくかき混ぜながら、エピソードの粉を振りかけていけば、
いずれ泡が固まってきて、かぐわしい形が現れてくるはず。

何をするわけでもい怠惰な日曜日。
でも、頭の中はフル回転している。
楽しくて、切なくて、泣きたくなるけど笑顔になれる……、
そんな物語を描きたい。
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コメント 3

イワナ

ロロ・ジョングランタイトルも変わっちゃうんですかー?
好きだったのになあ。
まあしょうがないのか…
文章も書き換え有りなんですね。
発売日を待ってます。
新作も(^-^)/

執筆にはほんとは連休がほしいですよねー。
まとまった時間がないときついです…
あー合宿でもしたいです。
あたしもがんばろう…
by イワナ (2012-02-13 00:12) 

Tamakuru

うぉ~、連載?、文庫本?、新刊?
楽しみにしているよ~!!!
体気いつけて。
by Tamakuru (2012-02-16 10:15) 

mika_m

>イワナちゃん、こんにちは。
「ロロ・ジョングランの歌声」も副題として残ります。文章は書き換えませんよ。

>Tamakuruさん、いらっしゃいませ。
出版したら宣伝部長をお願いしますっ!!!
by mika_m (2012-02-21 20:02) 

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