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今、できること [日記]

2008年、ちょうどザンビアの経済開発案件を手掛けている時だった。
私は2週間の一時帰国で東京に戻り、城山三郎経済小説大賞の受賞連絡を受けた。
そして、一週間後には再びザンビアに戻り、仲間たちにお祝いをしてもらった。

その時私が担当していたのは、産業調査だった。
どんな産業にポテンシャルがあるか、色々な企業を訪問して聞き取り調査をした。
銅資源に頼っている海のない内陸国。
経済特区予定地はカルスト台地で、重厚長大の産業以外で何か有力なものはないか探し回っていた。
ガタガタ道を車で移動していた時、ラジオから流れて来た曲……。
ああ、アフリカの曲だ。
その音楽は私を惹きつけて、エンタメ産業に適しているのではないか、と思った。

もちろん、ODA案件でエンタメ産業の支援などできない。
時間的にも無理だった。
でも、プロジェクトの友人たちと夢を語り、私は心の中で、
「小説でなら夢を実現できるかも」
と妄想にふけっていた。

転機は2008年に訪れた。
東日本大震災のボランティアで、二人の若いミュージシャンに出逢った。
彼らは世界に興味を持ち、これから海外に出ていくという。
「歌いながら世界中を回るのが夢」
と迫水秀樹くんは言い、
「海外でボランティアをしたい」
と出会ユキくんは言った。

私はその後ロンドンに二人を取材に行き、
そして、「アフリカッ」(中央公論新社)の中で登場人物のモチーフに使わせてもらった。
主人公である商社マンの青年が音楽を愛し旅をする青年とロンドンで出会い、
あれこれと話が展開していくのである。

その迫水秀樹くん……。
「アフリカッ」の登場人物よりも根性がある。
5大陸92か国を3年半かけて旅して、
最後はタンザニアで強盗に遭って命の危険にもさらされたけど、
一回りも二回りも成長して、この9月に帰国した。

JICA短期ボランティアを経験した出会ユキくんと、
92か国ギター一本で旅した迫水秀樹くん。
その二人にエールを送るために、
10月31日にコンサートを主催します。

リハーサルを聴いた私は図らずも涙が溢れた。
すごい歌だ。
全ての理屈を取っ払って魂に直接響いてくる。

一人でも多くの人に聴いてもらわなきゃいけないと思った。
この才能を埋もらせたらいけない。
きっと、彼らを応援するのが私に今与えられたミッションだね。
最善を尽くします。

多くの人が聴きに来てくれますように……。
「世界を語ろう歌う道」

来てください。

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地震@カトマンズ [ネパール]

昨年は一年間開店休業で仕事をしなかった。
今年度に入り、久しぶりによっこらしょと重い腰を上げて仕事に復帰し、
ネパールにやって来た。
初日からバタバタと業務をこなし、3週間目、
やっと土曜日になり、ゆっくりしようとホテルで文章を書いていた。

あれっ?

ガタガタと椅子と机が動き出した。
「えっ??」
始め、それが何なのかわからなかった。
微動はすぐに衝撃に変わり、床が縦横斜めに動き出す。
私はとっさに文書保存のボタンを押すも、椅子からずれ落ち床にへたり込んだ。
メキメキ、音がする。
縦揺れなのか横揺れなのかもわからない、不規則な振動。
割れているような、ガガガという感じ。

机の下にもぐろうとしたが、座り込んだ勢いでベッドの方に飛ばされる。
ベッドの下には空間がなく、入り込めない。
私は慌てて布団引っ張って頭にかぶった。
大きな揺れにあらがうことも出来ず、
頭の中を死がよぎった。

このホテルは斜面に建っている。
建物倒壊、あるいは土砂崩れ?
日本なら耐震構造だが、
ホテルにどれだけの強度があるのかわからない。

あちこちから悲鳴が上がるのが聞こえてきた。

私も、大きな声を出した。

「怖いよー!」

声に出して叫ぶと、少し落ち着く。

「怖い、怖い、怖い!」

息ができる。

もうダメかもしれないと思った。

屋根が落ちるか、
床が崩れるか、
それとも建物ごと落下するか……。

こんなところで死ぬのかな。
愛しい人のことを思い、母のことを思った。
私が死んでも、きっと元気に生きてくれるはずだ、と、
そんなことを思った。

そして、突然ぱったりと揺れが収まった。

私は呆然と床にへたり込んでいた。

ああ、逃げなきゃ。

ドアを開けて、「誰かいますか!」と叫んでみる。
そうだ、パソコンは持ちだそう。
引き返して身の回りのものをかき集める。
それからパスポート、現金、携帯電話。
靴も履かないとマズイ。

とりあえずの貴重品を抱え、レストラン横の裏庭に出ると、
既に多くの宿泊客、従業員が芝生の上に座り込んでいた。

そのホテルからはカトマンズ盆地が見渡せた。
白っ茶けた土煙が上がっている。

家屋が倒壊しているのか……。

そして、誰かがタワーがない、と叫び出した。


こうして私はネパールで地震に遭遇した。

それから一週間。
緊急援助隊やテレビクルーなどが大勢やって来た。
一方私は、明日の飛行機で日本に一時退避する。

何もできない自分が腹立たしい。

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大学のイベント参加 [日記]

昨年以来、まったくブログを更新していません。

経済小説を書いていると、
何となく肩肘張ってしまうところがあって、
かえってブログが書きにくくなったなぁと思うことがあります。

今日は、母校のイベントに参加したので、
そのご報告をすることにしました。

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詳しくはこちらの中央大学のページをご覧ください。
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「アフリカッ」来週発売です [執筆]

渾身の一作。
ある意味、新境地である。

経済小説として情報をいかに入れるか考えながら書いた前作とは趣向を変え、
とにかく、楽しく面白く読んでもらうことに注力した。
確かに情報はたくさん詰まっている。
でも、苦労したのは、いかに情報を捨てるか、ということ。

主人公は、28歳の日本男児で、
トラブル続きのアフリカを縦横無尽に走り回る……というか、
けっこうヘタレ野郎なんですが……頑張るんだよね~。
大輝君とともに、アフリカに行ってみちゃってください。

12月20日発売です。
アフリカに行ったことがある人は「そうそう」と頷き、
行ったことのない人も、1785円で行った気になれます。

是非、買ってください(^^)
よろしくお願い致します。

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後には引けない [執筆]

先月末に行った鼎談(ていだん)が、現在発売中の
週刊ダイヤモンド10月12日号に掲載された。

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経済小説を読みつくしている東京経済大学の堺憲一先生と、
人材コンサルタントとしてカリスマ的人気の渋井真帆さん、
そして私の3人が、経済小説の魅力について話し合った。

私は第一回城山三郎経済小説大賞を戴き、
渋井さんは第四回の受賞者となった。

私はマスコミにはあまり露出しないタイプ……というか、
そんなにお呼びが掛からない地味~な小説家なのだが、
城山賞を創設したダイヤモンド社の計らいで、
「女性経済作家を二人創出」したこともあって、鼎談が実現した。

奇しくも、山崎豊子さんが亡くなったタイミングで記事になった。
社会を描く、女性作家という面で、特別な思いがある。
経済、ビジネスは男の世界と思われがちだが、
女性たちだって、仕事をし、社会に貢献している。
その観察眼は、組織の出世戦争に巻き込まれにくい分、
きめ細かい冷静さがあるような気がする。

記事には、次作に関する情報も載せてもらった。

仮タイトルは「アフリカッ」。
中央公論新社から12月発売予定と……。

もう後には引けません。

がんばります(^^)
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山崎豊子先生…… [読書]

テレビを見ていたら、山崎豊子先生が88歳で亡くなったというニュースが流された。
何だか、一瞬、呆然となった。
いつか、必ず会いに行きたいと思っていたのだ。
会ってもらえるような、一人前の経済小説家になりたいと思っていた。

女性で、経済と人間を描く……。
勝手な親近感だとは思うが、経済小説を書く私にとっては、
誰よりも目指したい大先輩だった。
いや、かなり無理だが……。

ちょうど、5日前の9月25日、週刊ダイヤモンド社の鼎談(ていだん)で、
おススメの経済小説を5点挙げてくださいと言われ、
私はその中に山崎豊子先生の「不毛地帯」を入れた。
目標と言うには余りにも高すぎるが、こういう小説を書ける女性を崇拝していた。

お亡くなりになったなんて、何だか喪失感がある。

難しいのに、読み止まらない経済小説。
彼女の残した小説を、もう一度読み返してみたい。
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バランス感覚 [日記]

個人事業主というのは、自由でいい。
私は開発コンサルタントの仕事は受注ベースだし、
小説も、書きたいときに書いている。

でも、自由な分だけ、自分で自分を律し、うまくバランスを保たないと、
誰も指示してくれないし命令もないから、超甘あま状態に陥ることがある。
心の中には常に焦りがあるのだが、
根性を入れて仕事をするための「エイヤーッ!」という気合が入らないと、
なかなか仕事に向き合う気になれない。

5月からずっと日本にいる。
半年近く、出張もなく、海外渡航をしないというのは、
ここ15年ありえない生活だった。
長く開いても、せいぜいが2ヵ月から3ヵ月。
3ヵ月以上日本にいると、今度は海外に出るのが億劫になって、
「行きたくない病」にさいなまれることがあった。

はてさて、今回は半年開発コンサルタントの仕事を休んだ。
小説の執筆のためだった。
何とか脱稿して、そろそろ本業に戻らなくてはいけない。
気持ちにプレッシャーをかけるのだが……ふう。

二足のわらじ……。
開発コンサルタントは、結構な重労働だし、シビアだし、中途半端な気持ちでは取り組めない仕事だ。
小説家も、甘くはない。
ともに、脳を使う仕事で、自分自身を追い込んで行かないといい結果が出せない。

この二つの職業をきちんとこなすって、しんどいなぁ。

頑張ります……。
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随分さぼった [日記]

こんにちは。
ご無沙汰しています。
みなさん、お元気ですか?

と言っても、もうこのブログに遊びに来る人は少ないかもしれない。
なんと、今年の1月に投稿して以来、ずっとサボってしまい、
随分久しぶりに書く。

この9か月間何をしていたかと言えば、
2月はインド・ネパールに行き、
4月と5月はカンボジア出張だった。

執筆活動は難航し、7月に一度脱稿するも、
600枚から500枚前後にまで減らす作業があり、
内容も、編集者さんと相談しながら改定を重ねた。
9月に入ってやっとゴールが見えて来たが、まだまだ先が長そうだ。
12月4日出版を目標にしているので、何とか頑張りぬきたい。

Facebookの投稿が多くなったため、こっちのブログがおろそかになった。
ちょっと考えるところもあり、匿名ブログなども書いてみたりした。

でも、私の公式ブログをこのまま放っておいてはいけないよね。

あまり頻繁には更新しないかもしれないが、
週に一度くらいのペースで再開したい。

今後ともよろしくお願い致します。



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明けましておめでとうございます [日記]

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昨年は、本当に怒涛のような一年だった。昨年の正月はモンゴルで明け、8月末までアジアとアフリカを行ったり来たり。その合間を縫って、4月に「利権聖域~ロロ・ジョングランの歌声」の文庫化。11月に「利権鉱脈 小説ODA」の単行本の出版を実現した。
小説のための取材旅行でロンドンとケニアに飛び、新境地を開いた。

さて、そして今年2013年は、東京の自宅で迎えた。

執筆中の小説は、400字詰め370枚まで辿り着いている。
本当は年末までに書き終える予定だった(爆)が、300枚くらい書いたところで行き詰まり、ずっと、うだうだ書けずにいた。時間はあるのだが、霧がかって先が見えてこないのだ。
だが、年が明けたら、ぱっと周りが明るくなり、物語が突然動き出した。
「うひゃー、この分だと600枚くらい書いちゃうかも」という、かなりやばい躁状態に……。
ずっと苦しんでいただけに、展開が見えたことについて「神様、感謝!」という感じです。
アフリカを舞台にした若き商社マンの奮闘記。
彼がこれからどう動くのか、楽しみでわくわくしてきた。

というわけで、今年はアフリカものを1冊書き上げます。
それが終わったら、スリランカ、あるいはネパールもの?
できれば日本を舞台にした異色の経済小説も手掛けたい……。
欲張りな年始の抱負ですね(苦笑)。
いったいいつコンサルの仕事すんだよ。小説じゃ稼げないじゃん。と突っ込みたくなります。
ま、何とかなるか。

今年もよろしくお願い致します。
(私って、シマリスに似てる?)
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新作「利権鉱脈~小説ODA~」発売です [執筆]


利権鉱脈    小説ODA

利権鉱脈 小説ODA

  • 作者: 松村 美香
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/11/27
  • メディア: 単行本


気がつけば、最後にブログを書いてから既に5ヶ月以上経っている。
近頃は仲間内のfacebookで短いコメントを書くくらいで、外向き発信を怠っていた。
仕事や執筆やプライベートであたふたと忙しく、腰を落ち着けて書く余裕がなかった。
物書きの端くれとして、ブログぐらいは継続して書けるような環境を作っておこうと思うのだが、書こう、と思っているうちに次の事件が起き、それを書こうと思っているうちに次の事件が起き、また、事件が起き、で、全てが新鮮さを失って書きそびれるのである。

それでも、何とか「利権鉱脈~小説ODA~」を上梓した。

8月末までエチオピアで業務。
帰国してからネパール残務が追いかけてきて、さらに小説ゲラの校正。
隙間を縫ってロンドンとケニア10日間の弾丸取材。
プライベートでもあれこれあって、一時は仕事&執筆そっちのけ。
何とか軌道修正して今に至るって感じである。

さて、出来上がった小説の帯には、高杉良先生の推薦文を戴いた。

リアリティがすごい!
本格派女性経済小説作家の
この訴求力に、脱帽するしかない

という絶賛文である。

さらに、

途上国への中国の影響力が増す中、
日本が取るべき海外援助のあり方を問う、
国際派経済小説の誕生

と、解説がつく。
ちょっと照れくさいが、編集者のアイデアに感謝である。

この小説は読み飛ばすタイプのストーリー小説ではなく、じっくりと一行一行噛み締めながら読み、行間から何かを感じ取って欲しいという思いで書いた。
城山先生の賞の名に恥じない、本格的な経済小説である。
だから、こうしたキャッチコピーが似合っている。

だが、友達に見せると、必ず「ぷっ(笑)」と反応する。
「みかが本格派女性経済小説家かぁ」とからかうのだ。
「だよねぇ、ガラじゃないよねぇ」と頭を掻くと、
「そこがいいところなんだけどね~」とフォローしてくれるのだが……。

内容には自信がある。
登場人物たちの生き方に、賛否両論あるとは思うけど、
悩み、行動する人たちの姿に、共感したり、反発したり、
考えるきっかけになって欲しいと思っている。
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